格安スキーバス

すさまじい労働実態が、明るみに出た。きのう大阪・吹田で起きたスキーバスの衝突事故は、花盛りの「格安ツアー」のずさんな内情を見せつけた。
事故を起こした運転手は21歳、去年7月に大型2種免許を取ったばかりだった。信州から300kmを超す長距離にもかかわらず、事故当時、交代要員はいなかった。警察の調べに「このところ忙しく、ついうとうとした」と過労による居眠り運転を認めている。
死亡したアルバイトの添乗員は16歳、運転手の弟だった。法律で未成年者の深夜雇用は禁じられている。2人を働かせていたバスの運行会社社長は、兄弟の父親。母親も同社の専務で、途中まで事故車両に同乗、実際に運転もしていたが、名神高速の休憩所で別のバスに乗り換えたという。
会社とはいうものの家内経営に近く、家族総出でツアーをさばいていたわけだ。限られたシーズン内にできるだけ多くの受注をこなすため、無理を重ねていた疑いが強い。
バスの乗務員不足について、ツアーを主催した大阪の旅行会社はバス会社の契約違反をにおわせているが、ツアーの安全確認・確保は主催会社の義務のはず。ここでも「下請け丸投げ」の問題がのぞく。
今冬、スノーボードを始めたわが娘も、格安ツアーのリピーターだ。窮屈な座席や強行日程で、前回の帰り、一緒に行った友人から言われたそうだ。「私ら社会人やし、これからもうちょっとええツアーにしよ」。それがよい。そうしぃ!