サミット誘致

ぶぶ漬け、たこ焼き、中華丼、海鮮丼。みんなおいしそうだが、食べ物の話ではない。2008年に日本で開催される先進国首脳会議(サミット)について、先週、伊吹文明文科相が「例え」にあげた候補地の名物だ。
次期サミットには、京都・大阪・兵庫の「関西」のほか、岡山・香川の「瀬戸内」、横浜・新潟の「開港150年」、北海道の「洞爺湖」が手をあげている。関係省庁による現地調査を経て、この春にも開催地が決まる見通しだ。
ここへ来て「関西」の足並みがまだそろわない。そこで、京都選出の伊吹氏が苦言を呈したらしい。「(京都と大阪が)『ぶぶ漬け』『たこ焼き』と言っている間に、横浜は『中華丼がおいしいよ』、北海道は『海鮮丼はいかが』と言う。トンビに油揚げをさらわれてしまう」。
大阪知事が昨夏、京都案のあいまいな警備体制を「ぶぶ漬けみたい」と批判。京都知事が、主会場を変更した大阪案を「ころころ転がすたこ焼きのよう」とやり返した。「内輪もめしている場合か」。伊吹氏はこう言いたかったに違いない。
しかし、そもそもこの「油揚げ」、奪い合うほどのものなのか。望んでいるのは、存在をアピールしたい地元のお偉方と懐の潤う観光関連業者ぐらいではないか。一般市民はせいぜい厳しい検問や交通規制に巻き込まれるのがオチだろう。
ぶぶ漬けもたこ焼きも、主食には向かない。ここはひとつ中華丼か、海鮮丼に譲っておいたらどうか。