やっこ「きーしま」

店の軒先に「キーシマの店」の札がかかっている。店内の表示は「きーしま」と平仮名書きだが、どちらにしても知る人ぞ知る、この店のオリジナルメニューだ。
「きー」は、中華めんの黄色。関西では「歯」を「はー」、「毛」を「けー」と伸ばして発音する。「しま」は「縞」、業界の隠語でそばのこと。漢字で書けば「黄縞」、黄色いそばという意味らしい。
名前のとおり、めんは中華そば、汁はうどんつゆ。「和風中華そば」と言えば、イメージしやすい。具は一切なし。刻みネギが小皿で出てくるだけだ。澄んだつゆは昆布とかつおの関西だしで、薄口ながらしっかりしている。
シコシコした中華そばとほんのり甘いだし、ミスマッチのようだが、これがなかなかいけるのだ。意外性のあるうまさ。香辛料はお好みだが、コショウよりも七味が合うと思う。
創業70年余。昔ながらの味を守りつつ、時流に合ったメニューにも積極的に取り組む。うどん、そば、中華とも自家製めんにこだわっている。
370円。品書きにはないが、「きーカレー」(580円)もある。京都市中京区夷川通室町東入。
 
 ★★★★(シンプル・イズ・ベスト)