10年目の梅子

「東風(こち)吹かば においおこせよ 梅の花 あるじなしとて 春を忘るな」。きょうは、梅をこよなく愛した菅原道真の祥月命日。道真を祭る京都・北野天満宮では梅花祭が営まれ、神事や献茶が行われた。
今年は暖冬で「東風」が早かったのか、天神さんの神苑も白梅が7分咲きとか。わが家の盆梅は満開を過ぎて、はや落花盛ん。数日前から玄関を退き、裏庭で休んでいる=写真=。
「梅子」と名づけたこの盆梅、1998年2月に滋賀・長浜の盆梅展会場で購入した。わが家に嫁いできて、ことしで10年目。購入時に樹齢45年と聞いたから、もう55歳になる。なんとなく親しみが持てるのは、自分と同年輩のせいかもしれない。
梅子の写真を毎年この時期に撮り「○年目の梅子」として残している。花の多い年もあれば、少ない年もある。わが子の成長記録を見るようで、なかなか楽しい。
そんな梅子にこの冬、一大事が起きた。立派な枝が1本折れたのだ。家人はだれも心当たりがない。犯人は、入れ代わり立ち代わりわが庭に不法侵入して来る猫どもに相違ない。やつらを追い回して昨夏、右足を肉離れした。梅子の痛みが他人事には思えない。
残念ながら「骨折」は元に戻らなかったが、きれいな花は咲かせた。「へ」の字に折られながらも懸命に花を支えている様子が、けなげだった。
植物や盆栽が好きというわけではないが、梅子だけは別格だ。道真にはかなわないが、これからもせいぜい慈しんでやりたい。元気出して行こうぜ、梅子!