魚ウォーズ

大分の「関あじ、関さば」が激減しているそうだ。地元・佐賀関(大分市)の漁業関係者に言わせると、この3年で水揚げが半減しているらしい。
その原因としてやり玉に挙げられているのが、隣接する津久見臼杵両市の巻き網漁だ。「関あじ、関さば」は、佐賀関の一本釣りに限られた登録商標。魚が傷つきやすい巻き網漁には使えないが、一網打尽で漁獲量はこちらのほうが多い。
巻き網側は、一本釣り側の主張を「根拠のない言いがかり」と否定しているが、間に立つ大分県はこの春から実態調査に乗り出す。さらに最近、素人の釣り客を乗せた遊漁船が制限区域に入り込み、無秩序にえさをまいたり、漁場を荒らす行為が後を絶たないともいう。
近ごろ「魚ウォーズ」という言葉が、新聞やテレビ、雑誌にしばしば登場する。国や地域、漁業団体による魚の争奪戦のことだ。背景には、BSEや鳥インフルエンザのまん延による世界的な肉食離れ、健康志向による魚食の普及・拡大があるとされる。
加えて国内では「グルメ」ブームで、手に入りにくい高級魚や名の通ったブランド魚が珍重される。「関あじ、関さば」しかり、かの「大間まぐろ」しかり。
消費者としては、うまいものは食べたいし、耳寄り情報も得たい。しかし、半端な情報に振り回されるのは慎みたい。「関あじ、関さば」とは呼ばないが、通は佐賀関の対岸、愛媛・佐田岬の「岬(はな)あじ、岬さば」を好むと聞く。なるほど同じ海域。うまさは変わらず、値は格段に安いそうだ。