サクラ咲く

「本日、東京大学合格発表日です」。きのうの新聞に、こんな特大文字の広告が載っていた。通信教育の大手が出したものだが、受験講座の直接的な宣伝ではなく、「合格発表日」を強調する体裁が目を引いた。
「東大の合格発表日やて」「そんな時期やな」「サクラ咲く、か」「子どもも大きくなって、もううちには関係のない話やけど」「いや、昔から関係ないで。トーダイなんて、わが家とは縁もゆかりも一切なし」。朝食後、夫婦でひとしきり話題になった。
それにしても「サクラ咲く」の言葉には、なにか心ときめく響きがある。そう思いながら自転車で町を走っていたら、本物の「サクラ咲く」に出合った。
北区の住宅街の一角。民家の塀ごしに薄いピンクの花びらが満開になっている。あまりに見事だったので、自転車を止めて携帯電話のカメラでパシャッ=写真=。気象庁による京都でのソメイヨシノの開花予想は3月28日だから、それより18日も早いことになる。
今年は暖冬で、各地とも例年より早めの開花が見込まれている。観桜イベントを計画している関係者らは日を見極めるのに苦労しているそうだ。京都の有名社寺には桜の見ごろを問い合わせる電話があちこちから多いという。東山一帯では、ゆうべから「花灯路(はなとうろ)」も始まった、京都の春の開幕だ。