いちはた「けいらんうどん」

「いちはた」には20年近くかよっているが、「けいらんうどん」(650円)以外に食べたことがない。これにいなりずし3個、というのがラ流定番セット=写真=だ。
いつも「きょうこそ違うメニューを」と思うのだが、のれんをくぐると反射的に「けいらん、いな3(イナミと発音する)!」となる。店内に充満する甘辛いだしのにおいに胃が刺激され、たまらず注文してしまうのだ。
けいらんは、玉子とじのあんかけである。とじ玉子とあん、両者のバランスが命だ。玉子は上質の湯葉を流したように薄く、なめらかに、繊細にとじられている。これに、まったりとした濃いめのだしがよく合う。とろみは濃すぎず、薄すぎず。最後の一滴まで変わらない。
めんは、そばもあるが、うどんのほうがあんやとじ玉子との絡みがよい。太めで、だしのうまみをよく吸い込む。もちもちとして、口の中で玉子、あん、めんの3者が混然一体として「けいらん」ならではの味わいになる。
めん好きの間では知る人ぞ知る名店。住宅地の中にあるが、昼どきにはどこからやって来るのかと思うほど大勢のサラリーマンらでいっぱいになる。うどん、そば、どんぶり各種。いなりずし5個(イナゴと発音する)もある。宇治市伊勢田町名木。

 ★★★★★(けいらん京都一)