原発意見広告

けさの全国紙5紙に不可解な広告が出ている。「世界で一番安全安心な原子力立国を目指します」。広告主は「経済産業省」と「経済産業大臣 甘利 明」。連名による意見広告だ=写真=。
毎日のように、原発の事故隠しやデータ改ざんが大きく報道されているさなかである。責任を負うべき所管官庁と大臣が、いったいどんなつもりなのか。その意図をいぶかしく思う。
広告文の冒頭を引用する。「なぜ今改ざんが明らかになるのか? それは私が『事実を隠さず出すように』と指示したからです」。自慢げな言い回しに驚いた。言うまでもなく「私」とは甘利大臣のことだ。
その「私」が全電力会社に指示しているという「総点検の4つのねらい」も分かりにくい。「正しい記録を残すため(略)不正を清算しておくことが必要です」「…仕組みを作り上げていくことが必要です」…。まるで他人事のよう。だれに向かって説いているのだろう。
自慢と言い訳、この広告からはそんなメッセージしか伝わってこない。みんな過去のこと、私が指示したからもう大丈夫−そんな言い方でぬぐえるほど今の原発に対する国民の不信感は小さくないはずだ。
当事者、責任者、監督者としての意識が感じられない。こんな広告に税金が使われていると思うと情けない。「私が、私が」と言いたいだけなら、ご自分のポケットマネーで願いたい。