すしポリス

農水省が新年度から「日本食レストラン認証制度」を試験的に施行する。海外で横行するまがいものの「日本食」をなくし、味とイメージの向上が目的という。自発的に申請してきた店を対象に、食材や味付けを審査して本国としての「お墨付き」を与えるそうだ。
せっかくの試みだが、肝心の海外の日本料理店では反発が強いようだ。1300軒もの日本料理店がひしめく米カリフォルニア州では「全くばかげた制度」「伝統を押し付ける『すしポリス』だ」と否定的な声が大勢を占めているという。
米西海岸は日系移民や在留邦人が多く、日本食の普及が著しい。カリフォルニア米のおいしさには定評があり、アボガドを使った「カリフォルニア巻き」などは日本に逆輸入されているほど。「なにが認証だ」といった気分なのだろう。
日本料理店のレベルは、国や地域によって差が大きい。カリフォルニアみたいな所もあれば、正体不明のみそ汁やしょうゆだけのうどんなどに閉口するしかない土地もある。「これで日本食を名乗られてはかなわない」との思いも分からないわけではない。
しかし、強制的でないにせよ、国の「認証」までが必要かどうか。スコッチやボルドーなど特定ブランドの保護ならともかく、料理全般に「網」をかけてしまうのはどうかと思う。
わが愛するラーメンやカレーを持ち出すまでもなく、食べ物は土地の風土や人々の好みで変容し、発展するものだ。違いを嘆くのではなく、楽しむぐらいの寛容さがあってよい。