黄砂降る

きょうは朝から会社の創立記念式・入社式。式典の後、社屋の屋上で記念撮影するのが恒例だ。
地上8階のビル屋上からは、京都の町がぐるりと遠望できる。ふだんは安全管理のため立ち入り禁止だが、この日と五山送り火の夜だけは特別に上がれる。
例年入社式は晴れの日が多く、東山三十六峰を背に関係者が勢ぞろいしてカメラに収まるのだが、ことしはあいにく写真のとおり。眼下のビルや家並みは土色のベールに覆われ、視界は4km程度。比叡山から大文字山にかけての東山はほとんど見えなくなった。
この黄砂、新聞などには「春の使者」などと書かれることもあるが、迷惑この上ない。眺望だけならまだしも、空気がほこりっぽく汚れ、息苦しい。車や洗濯物への「被害」も甚大だ。
古謡に「かすみか雲か」と歌われる春がすみも実は黄砂だった、との説がある。江戸時代には「黄雪」の呼称もあったといい、昔から悩まされていたわけだ。近年は、中国の著しい工業開発で国土のさらなる砂漠化が進んでいるそうで、なおさらひどい。
晴れの門出を迎えた新人諸君だが、黄色く曇った空の下での珍しい記念撮影となってしまった。せめて前途は「視界良好」でありますように。

【写真=黄砂にかすむ東山(午前11時過ぎ)】