身勝手な発言

クラスで集団カンニング事件が起きた。うちひとりが先生に見つかり、問い詰められた。生徒はあっさりカンニングを認めたが「他の人もやってます」とバラしたものだから、さあ大変。仲間の生徒らは「あいつ、けしからん」とカンカン…。
プロ野球の不正金銭授受問題の記事を読んでいて、こんな例え話が頭に浮かんだ。最初にカンニングを見つかったのは西武。カンカンに息巻いているのは巨人。さしずめ、そんな図式だ。
巨人の滝鼻卓雄オーナーの言い分がふるっている。「(同種の不正が発覚した)04年の問題の時、ウチは他球団のことは、知っていても一切言わなかった」。おやおや、日本一を豪語する大新聞の幹部とも思えないご発言。不正を見て見ぬふりをしておられたらしい。
滝鼻さんは記者に向かって「何でもっと『(西武から金銭を不正に受けたとされる)アマの170人の実名を出せ』と言わないの? オレも新聞記者の肩書は残っているから一緒に(会見に)行ってもいいよ」と言ったとか。
こんな感覚で「オレも新聞記者」と言われたら、記者も迷惑だろう。自分たちに向けられた疑問に答えようともせず、西武のやり方を「アンフェア」と断じる。「恩をあだで返された」とでも言わんばかり。「記者」の端くれなら、他社と一緒に行かず、なぜ自ら率先して調査に動こうとしないのか。
たしかこのご仁、親会社の新聞社で社会部長、法務室長まで務められたはず。会社やドンへの忠誠心が強いあまり、記者の矜持(きょうじ)までお忘れになったか。