ちいふ「すき焼きラーメン」

表の看板やちょうちんには「すき焼きラーメン」と書かれているが、品書きにあるわけではない。店のメニューには「中華そば」(500円)とあるだけだ。
鶏がららしきだしを使ったしょうゆ味。中細の縮れめんは京都では少数派だが、具はチャーシューに刻みネギとモヤシ。別に牛肉や野菜、糸コン、豆腐が入っているわけではない。よくある普通の「しょうゆラーメン」だ。
違うのは、この「中華そば」を注文すると、生卵が1個別の器に入れて付いてくるところ。店内に「スキ焼ラーメンの食べ方」の張り紙がある。「1.生玉子を割りよくかきまぜる。2.スキ焼醤油を少し入れる。3.麺・焼豚をつけて食べる」
何のことはない。溶いた生卵にラーメンをつける。つまり、食べ方が「すき焼き風」なのだ。カウンターの上には、卵にまぜる「スキ焼醤油」が置かれている。
張り紙の手順に従って食べる。なるほど、そう言えば「すき焼き」の風味がする。卵と濃いしょうゆのせいだろう。以前「面白いねえ。大将が考えたん?」と尋ねたら、待ってましたとばかりに大将が「そうです。おいしいですやろ」と得意げにうなずいた。
生卵にラーメン。この大将以外に、だれがこんなことを思いつくだろう。コロンブスの卵、ならぬ大将の卵。中華そば+ミニ牛丼のセット(850円)なら、より「すき焼き」らしくなる? 京都市中京区押小路通小川西入。

★★★(アイデアの奇抜さに脱帽)