知事vs記者会

宮崎の東国原英夫知事が、地元の県政記者クラブとうまくいっていないらしい。先日、記者会見で「定例会見って必要ですかね」と切り出し、記者側と激しいやりとりになったという。
テレビのワイドショーでまたかと思うほど愛想をふりまいている知事の姿しか知らない者には意外な気がするが、実は地元記者たちとは就任直後からぎくしゃくしていたそうだ。副知事の人選をめぐる報道で、知事の意に沿わない記事が出たのが発端ともいわれている。
「(会見は)発表事項のある時だけでいいじゃないか」と言う知事に、記者側は「こちらから聞きたいこともある」と反論した。これに対して知事は「じゃあ会見内容を全部載せてくれるんですか」「あなたたちが聞きたいことが、必ずしも県民が聞きたいことだとは思わない」とぶちまけたと聞く。
テレビはありのまま伝えるが、新聞はその通りに伝えない。かつて政権末期の佐藤栄作首相がそう言い放ち、テレビカメラだけを相手に所信を述べたシーンを思い出す。それは誤解なのだが、テレビ育ちの東国原知事にも同じようないら立ちがあるのではないか。
取材する側とされる側の「間合い」の取り方は難しい。是は是、非は非として、互いにおごらず、おもねらず。それが両者の健全なあり方だろう。
「君の言うことには一切同意できないが、君がそれを言う権利は死んでも守る」(ボルテール)とまではいかなくとも、ふだんから顔を合わせ、意思を通わせることは大事だと思う。