「公開捜査」のあり方

きのう、警察庁の「捜査特別報奨金」制度にふれて、現役刑事のさらなる奮闘にエールを送った。きょうはこの制度にからんで、別の角度から「公開捜査」のあり方を考えたい。
「キツネ目の男」と言えば、40代以上の人ならすぐ特定の顔が思い浮かぶはずだ。1984年から85年にかけて世相を騒がせたグリコ、森永など食品企業連続脅迫事件の「重要参考人」の似顔絵である。
35〜45歳(当時)、身長175〜178cm、がっしりした体格で、眼鏡をかけ、キツネのようにつりあがった目が特徴とされる。捜査員が高槻−京都間のJR車内で間近に観察した記憶を基に描いたもので、確度(似ている度合い)は「80%以上」といわれた。
これだけ有力な手がかりがあり、関西を中心に空前の大捜査を展開したにもかかわらず、事件は2000年に時効となった。キツネのしっぽさえつかめなかったのだ。
原因はいくつも考えられるが、そのひとつが似顔絵の公開時期だと思っている。絵が描かれたのは目撃直後の84年6月。しかし、一般に公開されたのは85年1月。事件から半年がたち、関連ニュースが減少、人々の関心が薄れてからの公開だった。
今回の報奨金制度でも、発生から半年以上経過していることが指定要件になっている。「まずは自力で」ということだろうが、半年たてば人々の記憶も関心もそれだけ低下する。
きのうの論旨と表裏になるが、捜査員の奮励と併行して、公開捜査はできる限り早期に踏み切るべきだ。民間に協力を仰ぐのは恥ずかしいことではない。数は力だ。