石村くんツアー

どっか行こ。連休前に考えた。「そうだ、石村くんとこ行こう」。
親しくしている「味工房 うえ川」(京都市北区)で修業していた若者で、1年前に郷里の愛媛・川之江四国中央市)へ帰って店を開いている。さわやかで、意気のよい好青年だ。友人夫妻を誘って、冷やかし半分、車で石村くんツアーに出かけた。
店の名前は「喰王 坊zu」。「クッキング ボウズ」と読む。「坊zu」の意味は、写真①を見れば分かるはず。マンション1階に構えた和食の店だ。
小上がり2間とカウンター。午後6時過ぎだったが、もう3組ほどの先客がいた。町の中心部からタクシーで1000円前後。運転手もよく知っていた。「まだできて日が浅いけど、評判いいですよ」。そう聞いて、うれしかった。
自慢の地魚と地酒を中心にいただいた。毎朝仕入れに行く川之江港近くの卸市場でも、だいぶ顔が知られるようになったという。瀬戸内産のサワラのたたき(写真②)がうまかった。カツオの臭みがなく、身がホロホロ。ポン酢につけて口に運ぶと、やさしい味が広がった。マテ貝、カワハギの薄づくり(写真③)など、腕によりをかけた品が次々にカウンターに並んだ。
もちろん「和」が基本だが、肉いためからピザまで「ストライクゾーン」の広さは師匠譲り。会社員のグループから家族連れまで、客層は幅広そうだ。持ち帰りに、さばずしを巻いてくれた。翌朝、川之江城で天守閣を仰ぎながら味わい、「ボウズの若大将」のさらなる健闘を祈った。