スー族vsスワン族

タクシー車内の禁煙をめぐって、名古屋で思わぬ「民族対立」が起きているらしい。
発端は、地元の中日新聞に載ったコラム。同社内では、少数派の愛煙家は「スー(吸う)族」と呼ばれ、多数派の「スワン(吸わん)族」の中で肩身の狭い思いをしているそうだ。
コラムの筆者は、その「スー族」の一員。「タクシー禁煙の憂うつ」と題して、名古屋タクシー協会が今月から全国の政令市に先駆けて実施した全車一斉禁煙に一矢を放った。
いわく「たばこくさいと非難する女性は、厚化粧のくさみをご自覚だろうか。…たばこのにおいで肺がんになることはない」「(タクシーは)個別選択的な乗り物である。全車禁煙という一律主義に、スー族は本能的な危険を感じる」などなど。
ヒトラームッソリーニフランコの独裁者たちが禁煙主義で、彼らに対抗したルーズベルトチャーチルマッカーサーはたばこのみだったとして「禁煙は、下手をするとナチスのように他者の存在を認めない原理主義に陥ってしまう」とも書いている。
これに対して、たちまち約40通の抗議メールや手紙が新聞社に寄せられ、東京のNPO法人「日本禁煙学会」からも筆者に抗議文が送られたという。
当方も「スワン族」。タクシー車内のたばこ臭にはかねて閉口している。全車禁煙、大いに賛成。ただし、ナチスうんぬんは言い過ぎだが、言論の自由も尊重したい。これで状況が覆るわけでもなし、少数派の記者が署名入りで個人の意見を述べたぐらい目くじらたてることもあるまい。