滋賀自民の鞍替え

新幹線新駅建設などをめぐって現職知事と激しく対立してきた自民党滋賀県連が、これまでの方針を転換して「知事与党」になる姿勢を打ち出した。昨夏の知事選に敗北、今春の県議選でも過半数割れの惨敗を喫し、夏の参院選を前にしての「大変身」らしい。
きのうの県連大会で、党本部の中川秀直幹事長が新幹線新駅について「(凍結・中止を求める)民意をしっかりと受け止める必要がある」と発言した。さらに「知事の対話勢力として謙虚に再スタートすることは重要」と嘉田由紀子知事との関係修復を求めた。
「勝てば官軍」とはよく言うが、敗軍のこの変わり身の早さはどうだろう。県連の新会長に選ばれた岩永峯一衆院議員は大会後の会見で「(嘉田知事への)対決姿勢は持たず、わだかまりないよう対話を進めていきたい」と述べたという。
政治家が「民意」に耳を傾けるのは当然だ。誤りがあれば率直に認め、改める勇気と謙虚さも大切だと思う。しかし、つい先日まで事あるごとに知事を批判してきた立場ではないか。それが一転「対決姿勢」を捨て、目先の選挙目当てに知事与党へ、では通るまい。
先の知事選では、嘉田氏の得票率46%に対し、自民の推薦候補も39%を獲得している。県連は、これら支持者への説明責任を果たさなければならない。
行政の適正な執行を促し、点検・監視するのが議会の役割だ。オール与党では、こうした機能が働きにくい。是々非々、時には対決も辞さず、の気概は与野党を問わず堅持すべきだ。