8年後の小学校

IT時代の学校はどうなるか。文部科学省の研究チームが、2015年を想定した近未来の小学校像をこのほどまとめたそうだ。
朝、児童が校門をくぐると名札に埋め込まれたICタグが登校を確認、担任教諭と保護者に出欠情報を送信する。計算ドリルはパソコン画面で自動的に答え合わせ。植物観察は携帯のデジカメで撮影、テレビ画面から博物館に直接質問する。
美術鑑賞は大型ハイビジョンでル−ブル美術館の「モナリザ」を目の当たりに。社会見学では資料をダウンロードして。宿題はビデオ教材を使って携帯端末やPCで…。
ほんとに8年後、いまの小学校がこんなふうになるのだろうか。「IT」を切り口にした研究だから、その立場から多少の誇張も含まれているだろうが、教育研究者らでつくる専門チームの予測だ。全くの「夢物語」というわけでもなかろう。
ただ、1校あたりのパソコン配備が4.6台という現状を考えると、それが今後8年間で急拡大されるとは思えない。機器だけでなく、それを駆使して指導できる教師の養成も必要になってくる。ハード、ソフト両面とも実現へのハードルは高い。
さらに、こうした学校や学習で、どんな子どもが育つのか。そうでなくても、知識だけで、生の人間関係を避けがちな傾向が、さらに進むのではないか。仮想画面の情報に振り回される心配はないか。
将来像というより、問題提起と受け止めたい。