イチャモン親急増

『悲鳴をあげる学校』(旬報社)という本が売れているらしい。著者は、小野田正利大阪大教授。親から学校に寄せられる理不尽な無理難題要求=「イチャモン」について研究しているそうだ。
「子どもがけがをして休む。けがをさせた子どもも休ませろ」「親同士、仲が悪いので、子どもを別の学級にして」…小野田教授が関西の幼稚園、小・中学校に聞き取り調査したところ、こんな「イチャモン」が90年代後半から急増していることが分かったという。
校内暴力、校則、体罰、いじめ…いまの親世代が育った70年代後半から学校や教師のあり方にかかわる問題が次々と持ち上がった。自らの高学歴や権利意識の高まりもある。学校がなんだ、教師がなんだ。こんな風潮が背景にあるらしい。
東京・港区は今月から弁護士と契約を結び、区立小・中学校がこうしたイチャモンの相談にのってもらうことになったそうだ。なにも弁護士まで動員しなくても、とは思うが、そうしなければならないほど現場でのプレッシャーは深刻なのだろう。
「お金に困らない子の育て方」「担任教師の能力判定」「わが子が輝く学校選び」「わが子にいい塾、悪い塾」…評判の家庭教育雑誌には毎号こんな見出しが躍る。わが子、わが子のオンパレードが前から気になっている。
学校や教師にも問題は多い。しかし、わが子にしか目が向かず、イチャモンの「言うた者勝ち」は断固排除すべし。でないと、やがて社会が「悲鳴をあげる」ことになる。