ビリーさんの特訓

「入隊志願者」がうなぎ上りだそうだ。米国のカリスマトレーナー、ビリー・ブランクスさんのエクササイズDVD「ビリーズブートキャンプ」(4枚組、1万4700円)が、日本だけで20万本以上も売り上げたらしい。
「ブートキャンプ」とは、米軍の新兵訓練。その教官をしていたビリーさんの発案からこのDVDが生まれたという。テレビショッピングの視聴者に「入隊おめでとう」と購入を呼びかけるビリーさんにひかれて「志願者」が相次いでいるというわけだ。
通常、この手のDVDは1万本も売れれば御の字とされる。爆発的な売れ行きの理由が、あれこれ取りざたされるのも無理はない。運動不足、メタボリックシンドロームなどと叫ばれ、体を動かすことや健康への関心の高まりが背景にあるのは間違いない。
それだけではない。激しいリズムに体を動かしながら「自分の目で見ろ! 自分の頭で考えろ!」など「ビリー語録」と呼ばれるゲキを飛ばし、時に厳しく、時に優しく、励ましてくれるのが良いという。
他から大声を上げられることの少ない今、軍隊式のスパルタ体操が新鮮で魅力的に映るというのも分かる気がする。従順だが指示がなければ動けない、判断力がない、対人関係が苦手などと言われがちな若者も、心の底では力強い声かけを求めているのかもしれない。
ただし、それが生身のふれあいではなく、DVDの画面を通してのものであるところが少々気にかかる。