麻布永坂 更科本店「カレー南ばん」

「永坂更科」からさらに坂を下ること5分、新一の橋交差点の角に「麻布永坂 更科本店」が立つ(写真1)。外観は更科堀井、永坂更科の2店ほど大きくはないが、中に入るとテーブル席のほかに小上がりもあり、結構広い。
それにしても麻布十番界わいに3店もの更科そば。名前もしり取りみたいで紛らわしい。由緒をたどれば、みんな寛政年間の布屋太兵衛に行き着くのだろう。
玄関わきの陳列ケースに各種そばの模型見本が並ぶ。玉子とじ、あんかけ、納豆といったメニューの豊富さからも、ここが一番庶民的な印象だ。ところがどっこい、品書きをのぞくと外見とは大違い。お値段は一番高いではないか。
最も安い「もり・かけ」で840円、さらしなの「御膳そば」と「おせいろ」が945円。他は1000円を超す。えーい、こうなったら「カレー南ばん」(写真2)だ。1680円!
大きな鉢の縁からこぼれんばかり、表面張力で盛り上がったカレーそばが出てきた。関西なら具はたいてい牛肉だが、ここは東京。肉といえば豚肉だ。とろみのあるカレーあんは辛すぎず、甘すぎず。ガツンとくるパンチはないが、そのぶん、そばの味を損ねることなく、豚肉のうま味で程よくまとまっている。
前の2店に比べると派手さはないが、確かな腕を感じさせる。東京都港区麻布十番1。

★★★★(そばは正統、値段は高め)