京乃四季「生粉打ちそば」

ここのおすすめは、なんと言っても「生粉(きこ)打ち」。京都・美山鶴ケ岡産のそば粉を石うすでひいた手打ち十割そば=写真=。800円。1日限定12枚。ざる(せいろ)では、まぎれもない「京都一」だ。
何もつけずにそのまま食べても、そばの甘い風味が感じられる。また、そばつゆが天下一品。甘すぎず、辛すぎず、「絶妙」の一語。いつも、このつゆの風呂にどっぷりつかりたいと夢見ている。「十割」を楽しみたい向きは、一緒に添えて出される天然塩をつまんで、そばにひと振り。そのまま食べると、そば本来の味が際立つ。
温かいそばは機械打ちだが、関西風のやや甘口のだしがうまい。しっぽくもよし、のっぺいやけいらんなど「あん」系も最後の一口までいける。
マスターは、元祖「うどんすき」の大阪・美々卯で修業、そば打ちは信州・戸隠で腕を磨き上げた実力派。先代から四条烏丸、大丸の西側でやっていたが、数年前に伏見・西大手筋の現在地に移った。派手な広告はせず、当初は四条時代からのなじみ客と知る人ぞ知る程度だったが、最近は口コミで広がり、2台しか置けない借り上げ駐車場はいつも満杯状態。
ここだけは紹介せず、隠しておきたかった店である。

★★★★★(これぞ真打ち!)