大阪鶴橋「キャベツ焼き」

大阪・鶴橋で、通りがかりにこんなモノに出合った。「キャベツ焼き」、略して「キャベ焼き」。
鉄板の上に生卵を割り、溶いたメリケン粉をまるく伸ばす。その上に、適当な大きさに刻んだキャベツをひとつかみ散らし、紅しょうがを振りかける。裏が焼けたら、ひっくり返して表も焼き、お好み焼きソースを塗って出来上がり。具がキャベツだけの薄いお好み焼き、と思えばよい。1枚110円。
味は…もちろん、メリケン粉に卵とキャベツだけ。聞けば、ここだけでなく、大阪市内のあちこちに店があるらしい。思えば昭和30年代、新聞紙にくるまれたこんな食べ物を縁日の屋台や夜店でよく食べた。京都では「ベタ焼き」とか、中身によって「ネギ焼き」「一銭洋食」と呼ばれていた。どれも新聞紙ににじんだソースをなめると、プーンとインクのにおいがしたものだ。
具だくさんのお好み焼きから大ダコの入ったジャンボたこ焼き、千円近くもする「一銭洋食」など、元の素朴な味が失われ、なんでもおしゃれで豪華、高価になりつつある中、粉もんの「原点」を見る思いがした。多くを期待してはいけない。話題性だけで十分ではないか。
 
★★(シンプル・イズ・ベスト!?)