茂美志や「のっぺいうどん」

「茂美志(もみじ)や」は、大正元年の創業。「名物のっぺいうどん」(895円)=写真=は、3代目の現店主が20年近く前、地元で食べられていた「のっぺいうどん」に手を加えて現在のスタイルに作り上げたそうだ。
店主の表現を借りると「大阪のあんかけうどんに、京都のしっぽくうどんがくっつきまして」という。土しょうがをのせたあんかけうどんの中に、しいたけ、麩(ふ)、湯葉三つ葉、かまぼこなどしっぽくうどんの具が入る。
この取り合わせは、京都あたりのうどん屋でも「のっぺい」として品書きにあるが、ここの売りはなんといってもあんの中に浮かぶ特大しいたけだ。開いたかさの直径は10cmにも及ぶ。かむと、ジューンとだしの味がしみ出してくる。
あんも絶品だ。食べているうちにだんだんとろみが薄くなり、最後は普通のつゆと変わらなくなってしまうようでは失格。ここのあんは、最初のひと口から最後の一滴までとろみが緩まない。かつおと昆布で取っただしは、辛すぎず、甘すぎず。ちょうど東日本と西日本の真ん中に位置する長浜らしい甘辛味と言える。
毎朝足踏みで作るという自家製の太めんはシコシコ、モチモチ。あんのとろみとよく合う。観光客の多い土・日の昼どきは行列の覚悟が要る。滋賀県長浜市元浜町。黒壁ガラス館前。
 
 ★★★★★(いまや鴨鍋と並ぶ長浜の名物に)