三嶋亭「すき焼き肉」

京都で「すき焼き」と言えば、真っ先に名前の挙がるのが「三嶋亭」だろう。創業1873(明治6)年。自他ともに認めるすき焼き肉の最高級ブランドだ。
過日、東京、大阪に散らばっている家族がそろい、久しぶりにわが家で食卓を囲むことになった。ハレの日は「すき焼き」に限る。ここは「清水の舞台」からエイとばかりに飛び降りて、三嶋亭へ牛肉を買いに走った(写真①)。
買ったのは、100g1580円のすき焼き用ロース肉(写真②)。普通の店ならこれでも上等の部類だろうが、なんと100g6000円以上もの超高級品まで鎮座するここのショーケースでは中級程度。特製の割り下も一緒に買い込んだ。
作り方も三嶋亭風に、最初は肉だけを鍋に広げて焼いた。ベロッとした大ぶりの霜降り肉に割り下を注ぐ。ジューン。脂身が音を上げ、部屋中にぜいたくな香りが広がった。
とき卵につけて口に運ぶ。なるほど肉はとろとろ(写真③)。かむと、上質な肉汁と甘辛い割り下がからんで絶妙。口の中までとろけそうな気がした。
牛肉は特定の産地にこだわらず、全国から最良の肉を厳選して仕入れているという。店舗は創業時と変わらず、あんどん型のガス灯が軒先にかかる。1階は精肉小売り、2階の座敷で名物すき焼きが味わえる。京都市中京区寺町通三条下ル。

★★★★★(濃厚、芳醇、自信ののれん)