ラーメン軍団「重厚ラーメン」

ラーメン好きなら、一度は思う。自分の好きな味を作ってみたい−。
そう思って実際に店を開いたのが、ここの大将。開店は今年1月。31歳。10年間の会社勤めを経ての決断だったという。
サラリーマン時代に京都のラーメン店を食べ歩き、ホームページ「元祖京都ラーメン軍団」の管理人として、その筋では名が知られていたらしい。いわば「書く立場」から「書かれる立場」への変身だ。
メニューは「重厚ラーメン」と「原点ラーメン」の2種(各600円)。前者は「トロミのある高濃度系」、後者は「食べやすさを追求」とある。迷わず「重厚」のほうを選んだ。
出てきたラーメンは、中太ストレート。具はチャーシュー3枚に刻みネギ。特筆すべきは、薄茶色に濁ったドロドロスープ。かの「天下一品」も顔負けだ(写真1)。
味は、とんこつ系。もはやペーストと呼んでよいぐらいのスープにめんを絡ませて食べる。砕かれた豚骨の粉がザラザラと舌に感じる。脂気は少なく、意外にあっさり。好きずきだろうが、こってり「重厚」なコクを期待していた口には物足りなさが残った。
有名店の集中する一乗寺界わいで、このおとなしい味が生き残れるか(写真2)。脱サラ店主の挑戦は始まったばかり。持ち前のおう盛な研究心に期待したい。京都市左京区高野泉町。

★★★(軍団の戦いはこれから)