ゆふいん麺工房「やせうま」

九州の名湯・湯布院のみやげに「やせうま」をいただいた。大分の古くからの郷土料理だそうで、透明の包装袋からきしめんのような平うちめんがのぞいている(写真1)。
めんは、名古屋のきしめんより幅が広く、山梨のほうとう、群馬のおっきりこみに似ている。ところが、同封の作り方を見てびっくり。いわゆる「めんつゆ」で食べるのではなく、砂糖入りのきな粉にまぶして食べる「おやつ」なのだ。
めんを熱湯で10〜12分ゆでる。水洗いのうえ、水分をよく切って小皿に盛り付ける。小麦粉から作られためんは、きしめんほうとうと同じくつややかできめが細かい。この上に添付の砂糖入りきな粉をふりかけて出来上がり(写真2)。
うどんのような濃い塩分がなく、きな粉や砂糖とよく合う。つるんとしたのど越しはわらびもちにも通じる食感だ。ただ、せっかくの平うちめん。「ラ党」としては、しょうゆ系のだしつゆでつるつるといきたいところだ。
そう思っていたら、そんな食べ方もあるらしい。同じめんを使い、味噌仕立てで汁物にしたのが、もうひとつの大分名物「だご(だんご)汁」。そう言えば、そば(そば切り)も菓子から派生したもの。めんと菓子は、近い親せきだったのだ。
やせうま」の由来は、平安の昔、都落ちしてきた貴族の幼君に「八瀬」という名の乳母がこれを作って食べさせた。幼君はたいそう気に入り「八瀬、うま(食べ物の幼児語)、うま」とせがんだそうな。乳母は京都・八瀬の出身だったとか。うまく出来た話である。

★★★(甘党のめん食い向き)