かねよ「上等きんし丼」

きょうは土用の丑(うし)。昼食に職場を抜け出し、同僚とタクシーで京極の「かねよ」(写真1)へ。創業100年余、うなぎ一筋の老舗だ。
注文は、迷うことなく名物の「きんし丼」。1/2匹の「並」(1400円)もあるが、せっかくのこと。まるまる1匹使った「上等」(2300円)を奮発、「きも吸い」(350円)も付けた。
「きんし」と言えば錦糸=卵焼きの細切りが一般的だが、かねよの「きんし」は器一面を座布団のようなだし巻きが覆う(写真2)。甘くない、だしをといた京風で、内側にとろみが残るふんわりとした焼き具合が自慢だ。
うなぎは浜名湖産。関西に多い腹開きではなく、江戸風に背開きにして焼くのが、ここの流儀。創業時からつぎ足し、つぎ足して引き継いできたという秘伝のたれに何度もつけ、備長炭で香ばしく焼き上げる。うなぎの脂が、甘辛いたれと上品なだし巻きにまぶされて、絶妙の味わいだ。
木造2階建ての建物は、大正末期のもの。かつては京極の映画館や寄席帰りの客でにぎわった。2階へ上がる時は木の下足札が手渡される(写真3)。内装はきれいになっているが、窓や戸のがたつき、ビール瓶が勝手に転がる座敷の傾きは昔のままだ。
2階座敷では毎月、若手の落語会(うなぎ丼付き、1470円)も催されている。京都市中京区六角通新京極東入。

★★★★★(レトロな建物も味のうち)