森正「にうめん/そうめん」

そうめんの歴史は、大和・三輪の里に始まる。約1300年前、大神(おおみわ)神社の宮司狭井穀主(さいたねぬし)がこの地に小麦の種をまかせ、神意を受けてそうめんを作ったと伝わる。
大神神社の鳥居横にある「森正(もりしょう)」は、立派な門構え。脇に「そうめん処」の看板がさがる(写真1)。同神社神官の奥さんが、30年ほど前に自宅玄関先の庭を利用して店を始めたそうだ。
文字通り敷居が高くて入りにくそうだが、麻のれんをくぐると、そうめんつゆの香りがプーン。木々に囲まれた広い庭のあちこちにテーブルが配され、気軽に座れる。
名物は、年間を通じて出される温かい「にうめん」(700円、写真2)。たっぷりのミツバと、しめじ、揚げ玉(天かす)が入る。つゆは薄味ながら、だしのうまみがめんのしんにまで行き渡っている。サイドメニューの柿の葉ずし(5個600円)と一緒に食べると、サバの脂と酢めしの酸味でさらに味が引き立つ。
木陰の外は真夏の日差し。涼味を求めて、もう1杯。今度は「ひやし長そうめん」(1100円、写真3)。普通より長めに切ったそうめんで、つゆにつかっている。めんはつるつるで細いが、歯ごたえはしっかりしている。小エビ、オクラ、湯葉、シイタケなどが入り、上品でさっぱりした味わいだ。
冷たいそうめんは11月まで。奈良県桜井市三輪。


★★★★★(本場の風格)