萬来軒「中華そば」

ことしで33年になるそうだ。盛衰の激しいこの世界では老舗の部類に入るだろう。
取り立てて言う個性があるわけではない。品書きに「中華そば」とあるとおり、ごく普通のラーメンだ。
鶏がらベースのしょうゆ味。めんは中細ストレート。分厚いチャーシューと多めのネギがのっている(写真1)。
めんとスープのバランスが取れているのだろう。食べやすく、素直にうまい。
あらかじめニンニクの有無を聞いてくれる。入れると、しょうゆ味にグッとコクが出る。においが差し支えなければ、おすすめだ。
いまでこそ京都のラーメンは「ギトギト」「こってり」と言われるが、かつてはこの手のオーソドックスな味が主流だったはず。奇をてらった新顔ラーメンもよいが、やっぱり昔ながらの味には安定感がある。
鉢の大きさに対して、スープの量が多く、なみなみと入っている。チリレンゲがないので、ぬるぬるの鉢を落とさぬよう気をつけながらゆっくりと傾ける。ズズーッと底まで平らげると、人懐っこい大将の笑顔が待っている。
赤ちょうちんを掲げた屋台風の店(写真2)。大将のお母ちゃんも気さくで、アットホームなぬくもりが心地よい。並600円、大700円。京都市上京区堀川通寺之内上ル西側。

★★★★(昔ながらの正統派)
※08年12月25日で惜しくも閉店、33年余の歴史に幕をおろしました。