曽爾高原温泉「お亀の湯」

オープンは3年前。名前は、曽爾高原の中心で、美人伝説の残る「お亀池」にちなむ。 湯は、ナトリウム炭酸水素塩温泉。「お亀さん」のような美肌効果が売りだ。 「木の浴室」「石の浴室」の2種類があり、毎週木曜日に男女を入れ替えている。どちらもほぼ同…

新宅本店「田舎そば/おろしそば」

曽爾村から名張市へ抜ける県道のわき、高台にある。元は村のよろず屋さん。外見も普通の民家で、トレードマークの大きな黄色いのれんがなければ、通り過ぎてしまう(写真1)。「黄色いのれん」は店の呼び名でもある。 そばは約7年前に始めた。冷たいそばだ…

曽爾高原

曽爾(そに)高原は、奈良県の東北端、三重県と境を接する。倶留尊山(くろそやま、1038m)の西側斜面に広がる約40ha。この季節は、草原の一面をススキが覆う。 中心の「お亀池」を巡る遊歩道を行く。正面になだらかな倶留尊山、亀山峠。後ろを振り返…

「室町」の復権

小さいときから歴史が好きだった。小学4年生のころ、林間学校で吉野へ行ってからは南朝の忠臣楠木正成、正行父子の「ファン」になった。その分、敵の足利尊氏が憎く思えて仕方なかった。「花の御所」跡の近くで育ちながら、室町幕府には親しみが持てなかっ…

忘己利他

きのうに続いて、新聞大会での話をもうひとつ。天台座主、半田孝淳さんが記念講演「宗教者からみた世界平和」の中で紹介した古今の宗教者二人の言葉が印象に残った。 ひとつは、伝教大師(最澄)の「忘己利他」(もうこりた)。「己を忘れて他を利するは慈悲…

言葉のタネ

作詞家の阿木燿子(あき・ようこ)さんの話を聴く機会があった。先日、長野市であった新聞大会での1コマ、地元生まれの阿木さんが昼食会のゲストスピーカーに招かれた=写真。 聴衆は全国の新聞社幹部約550人。平均57、8歳、ほぼ全員が男性だ。冒頭、…

そばざんまい

2泊3日の長野出張にかこつけて、現地で計8杯のそばを食べてきた。 名の通った専門店あり、パーティー会場の出店あり、駅の立ち食いあり…店はいろいろ、味もいろいろ。「そば王国」をたんのうした。 「そば時や月の信濃の善光寺」(一茶) ◇そば蔵(写真1…

永谷園「カレー鍋 和風」

数あるなべ料理の中で、これまでありそうで、なかったのが「カレーなべ」。なべは日本の家庭料理の定番。カレーはこれまた子どもから大人まで日本人の大好きな味。これまでなかったのが不思議なくらいだ。 ひとことで言えば、カレーうどんのうどん抜き。その…

「ええじゃないか」では済まぬ

JR京都駅の売店で一番よく売れる土産物は、なーんだ? もう20年ほど前になるが、調べたことがある。生八つ橋? 京漬物? ブー、ブーッ。正解は、赤福餅(あかふくもち)。なんと伊勢の名物が、観光京都の玄関口でナンバーワンの人気を占めていた。 「赤…

木簡の誓い

滋賀県西浅井町で、おもしろい木簡が見つかったらしい。「私は絶対盗みをしません」。平安時代の運送業者が神社に納めた誓いの文書だという。 琵琶湖最北端の「塩津港遺跡」で、神社の堀跡から55本の木簡が出土した。うち文字が読み取れたのは5本。どれも…

萬来軒「中華そば」

ことしで33年になるそうだ。盛衰の激しいこの世界では老舗の部類に入るだろう。 取り立てて言う個性があるわけではない。品書きに「中華そば」とあるとおり、ごく普通のラーメンだ。 鶏がらベースのしょうゆ味。めんは中細ストレート。分厚いチャーシュー…

あきれた「ずる休み」

親族が死んだと偽って「ずる休み」−冗談や漫画の世界の話だと思っていたら、本当にそんなことをしている公務員がいた。それも1人や2人ではない。5年間で43人もの京都市職員がこんな不正で忌引休暇を取っていたというのだから、あきれてしまった。 49…

玉木屋「秋刀魚さんしょ煮」

うまいのは当たり前。それをさりげなく、コンスタントに出すところが老舗だ。 東京・新橋「玉木屋」は、天明2(1782)年の創業。つくだ煮、煮豆で知られ、旬の魚を使った季節の味わいには、いつ食べても舌を巻く。 絵は、知人からいただいた「秋刀魚さ…

トヨタ博物館「ビーフカレー」

「世界のトヨタ」は車だけではない。カレーまで売っている。 もとは、トヨタ博物館(愛知県長久手町)のレストランで出しているメニューのひとつ。来館者の人気が高く、レトルトにして発売されるようになったという。 買えるのは、博物館の売店かトヨタディ…

東農園「紀州五代梅 心」

たかが梅干しと侮ってはいけない。ひとつずつ丁寧に包装され、きれいな木箱の中に納まった風情は、さながら上菓子のよう(写真1)。気品さえ漂う。 製造元の東農園(和歌山県みなべ町)は、創業170年という紀州梅の老舗。「心」は、その中で贈答用に特製…

メディアスクラム

社会的に関心の高い事件や事故の現場に記者が殺到、大勢で関係者に強圧的な取材をする行為を「メディアスクラム」と呼ぶ。「集団的過熱取材」などと訳され、日本新聞協会などでは人権侵害の恐れがあるとして、その自粛と取材の適正化を申し合わせている。 連…

「コテコテ論序説」

「大阪」と聞いて、一番先に浮かぶイメージは? 吉本新喜劇、くいだおれ、道頓堀、川に飛び込む阪神ファン…「コテコテ」と称される大阪のシンボルの多くが、ミナミのなんば界わいに集中していることに気づく。 上田賢一『コテコテ論序説』(新潮新書)には「…

フードマイレージ

「フードマイレージ」という言葉を、先日読んだ『ウナギ』(井田徹治著)で初めて知った。食べ物を産地から運んでくる際に排出する二酸化炭素の量を数値化し、グローバル化時代の「食」が環境に与える影響を考えようという試みだ。 数字は、輸送距離(km)に…

メディアの冒険

10月に入り、全国紙が相次いで従来の殻を破って、新しい模索を始めた。 ひとつは、産経新聞がマイクロソフト社と提携して開いたニュースサイト「MSN産経ニュース」。取材した情報は新聞の締め切り時間を待たず、ネットへ優先的に流す「ウェブ・ファース…

北海道農水産「旭川ラーメン」

北海道のラーメンは、札幌だけじゃない。出どこが定かでないが、旭川には市民1330人に1軒の割でラーメン店があるそうな。札幌で2350人に1軒というから、地元ファンの間に「旭川こそ道内一のラーメン王国」とする声が強いのもうなずける。 地域だけ…

「ウナギ」

ウナギは日本人の好物だ。なんと世界の7割をこの島国で消費しているそうだ。そう言えば、かつては土用丑(うし)など年に数えるほどしか食べなかったのに、いまでは食べたいと思えば、スーパーやコンビニで年中安いかば焼きやウナギ弁当を売っている。 「こ…

ぶらり小浜

雑誌の「小京都特集」にあおられて、若狭の港町・小浜を訪ねた。 京都から北へ約70km。好きなイカの夜釣りで何度も来ているが、日の明るい時間に町なかをゆっくり歩くのは初めてだった。 港には、夜の出漁にそなえるイカ釣り船がいくつもつながれていた(…

まる姫「焼鯖ずし」

洛北・大原から若狭に抜ける国道367号は、通称「鯖(さば)街道」と呼ばれ、花折あたりから朽木にかけては道路の両側に「鯖ずし」ののぼりを立てた店が並ぶ。先日、小浜へ出かけた帰り道、その中で面白い1軒を見つけた。 道路わきに駐車場を設けたプレハ…

記者の死

「原稿より健康」。新聞記者の世界で、よく言われる言葉だ。いくら良い記事を書こうと、自分の健康を損ねては何にもならない。仕事も大切だが、わが身も大事。命あっての物種、というわけだ。 記者も人の子。当たり前の理屈だが、これが極限の状況になると難…

トラ息切れ

トラのリーグVが消えた。ほんの10日ほど前は、仲間と祝勝会の段取りまであれこれ話していたのに、あれよあれよの7連敗。2年ぶりのお祭り騒ぎは尻すぼみに終わった。 一時は首位に12ゲーム差まで引き離されながら、オールスター戦後の驚異的な巻き返し…

朽木温泉「てんくう」

かつて「鯖(さば)街道」の宿場町として栄えた朽木の里は、近年、豊かな自然を利用したスポーツ・レジャー施設やキャンプ場などで近隣から多くの客が訪れる。その中心「グリーンパーク朽木想い出の森」にあるのが、朽木温泉「てんくう」だ。 開業は1995…

御三家のピンチ

現代用語事典の御三家が、存廃のふちに立っているらしい。「イミダス」(集英社)、「知恵蔵」(朝日新聞社)、「現代用語の基礎知識」(自由国民社)で、軒並み発行部数がピーク時の20%以下に落ち込んでいるそうだ。 これまで通りに08年版の発行が決ま…

楽園ASIA Kyoto「ミーゴレン/グリーンカレー」

出来合いのペーストなどは使わず「厳選素材と丁寧な味つくり」をうたうアジアンレストラン。評判を聞いて、先週2度訪れた。どちらもランチタイムだった。 まず1度目。インドネシアのエビ入り焼きそば「ミーゴレン」に目玉焼き、焼き鳥、野菜スープ、デザー…

東大中央食堂「素ラーメン」

東大へ入った。ヨシモトの桑原和男ふうに言うと「の食堂に」である。 東大生協中央食堂は、東大のシンボル・安田講堂(写真1)の地下にある。席数420。内部が円形ドームになった名物大食堂だ。 入り口の陳列ケースをのぞくと、たくさんのメニューが並ん…

入力ミス

先日、定食チェーン「宮本むなし」を取り上げた際、本文の中でうっかり「日本一のご版屋さん」と記してしまった。「飯(の字)を使わないところがギャグ。どこまでも、お笑いのノリの定食屋さんですね」とのコメントをいただき、初めて入力ミスに気がついた…